自然観察会 29.10.8
- 配信日
- 2017.10.09
- 記事カテゴリー:
- 第二巻 湖水地方自然博物館
私が代表理事を務める一般社団法人湿原研究所が、湖水地方の自然観察会を開催した。
一般社団法人湿原研究所では、設立以来4年間、月に二度ずつ、各界の専門家を招聘し、湖水地方とその課題に関する研究会を開催してきて、情報と人的ネットワークの蓄積を終えた。次の段階として今年から、従来の目的である湖水地方博物館設立に向けて準備を開始した。この自然観察会は、副代表を務めてもらっている湿原生態学者矢部和夫札幌市立大学教授と話し合い、博物館に向けて一歩専門領域に踏み込んだ内容とした。その第一歩は、ブラウン-ブランケと呼ばれる植生調査である。
植生地を1メートル四方に区切り、その中に見られる植物を拾い出して、被度を記録していく。2年前に、ミヤコザサに覆われていた海岸草原の、笹刈りをした土地である。明らかに多様性が増している。来年は、ミヤコザサが旺盛に繁茂する草原の、現状の植生調査を行い、次に笹刈りを行って、翌年以降の植生の変化を記録する。そのことで、明らかな発見があるだろう。
この地域は、海岸草原に高山植生があらわれる。北海道でも知床と湖水地方だけの特徴だ。その代表例が、ガンコウランと、コケモモである。遺存植物とも呼ばれる。氷河期を生き延びた植物が、高山に移動せずに、この土地に残ったということを意味する。
コケモモ
また、コハマギクの群落、スズランの実も、見られた。
コハマギクとスズランの実